植物ホルモンであるフロリゲン(花成ホルモン)は、葉から茎頂へと移動して花成を誘導する。フロリゲンはFLOWERING LOCUS T(FT)遺伝子にコードされているが、その分子レベルの詳しい作用機構とフロリゲン受容体の正体はまだわかっていない。奈良先端科学技術大学院大学の島本功たちはイネを使って、フロリゲンが、あらゆる真核細胞に存在する調節分子の一種の14-3-3タンパク質と転写因子OsFD1に結合することを明らかにしている。結合によってできるフロリゲン活性化複合体(FAC)の結晶構造も解明され、フロリゲンの花成機構の基盤が明らかにされた。この研究は、フロリゲンとその調節因子を操作して農業的に重要な形質を改良する方法への手がかりとなるだろう。