Nature ハイライト 進化:クジラの耳の進化 2004年8月12日 Nature 430, 7001 陸上で暮らしていた四つ足動物からクジラ類が誕生したことは、大進化を示す良い例である。ごく初期のクジラ類が海に住み着くようになると、すべての器官が新しい環境に適応していった。この進化上の移行には1,500万年もかかっておらず、また、器官系によって進化のたどり方も違っていたことが、化石の記録からわかっている。今週号でH Thewissenたちは、クジラ類が海に適応するにつれて起こった外耳と中耳の進化上の変化について報告している。クジラ類がまだイヌのような姿の陸上動物だった進化の初期に、音が伝わる経路(伝音系)が変化した。この初期のPakicetidaeとよばれるクジラ類では、空中の聴覚も水中の聴覚も高度に発達していなかったが、その伝音系はじきに、水生のRemingtonocetidae類やProtocetidae類で見られるように、現在のハクジラ類のような伝音系に取って換わった。 2004年8月12日号の Nature ハイライト 気候:不確定性の範囲 動物行動:ひとのふりみて判断するカケス 生化学:穴がいっぱい 進化:クジラの耳の進化 材料:アルミナからガラスの靴? 認知:聴覚で舵取り 目次へ戻る