Nature ハイライト

気候:不確定性の範囲

Nature 430, 7001

「予測不可能なものはない。ただし未来の出来事は例外とする」とはウディ・アレンの言葉である。気象研究者は、自然現象の予測や気候変動の程度が、使用するモデルの精度に大きく左右されることを承知している。どのみち、未来に出向いて予測が正しいか否かを確かめることはできない。環境保全計画を立てる際に持ち出される、どちらが優れているかわからないモデルそれぞれから予測される変化は広範囲にわたるのがふつうだ。その主な理由は、モデルを作成する過程で入り込む不確定性が定量化されていないことにある。 J M Murphyたちは今回、不確定性をうまくかわす方法を考え、さまざまな不確定性と矛盾しない気候変動の範囲を見極める系統的な試みを行った。そして多種多様なモデルを集めて、大気中二酸化炭素濃度の倍増に対して気候変動がどれくらい敏感に反応するかを表す関数を導きだした。この関数を使うと、確率が5〜95%の範囲で起こる温度上昇が2.4〜5.4℃に収まると計算された。今回の研究では、地域での気候変動の範囲が、個々のシミュレーションに基づく従来の方法で示される範囲に比べてかなり広くなる。しかしきわめてはっきりしたことが1つある。どの気候モデルを用いたとしても、全地球の平均温度は上昇するのだ。

2004年8月12日号の Nature ハイライト

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