Nature ハイライト 医学:マラリア原虫を侵入禁止にする抗体 2011年12月22日 Nature 480, 7378 熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)感染の初期にあたる赤血球期には、原虫から無性生殖により発生したメロゾイトが赤血球に侵入する。この段階の防止や抑制は、抗マラリア治療のずっと以前からの目標であった。これが難しい問題であるのはすでに明らかになっているが、原虫のリガンドであるPfRh5と、メロゾイトが赤血球に侵入するのに不可欠な赤血球受容体ベイシジンとの間の特異的な相互作用が今回突き止められ、この目標の達成に一歩近づいた。抗ベイシジン抗体は、調べられたすべての実験室適応株および野外株熱帯熱マラリア原虫で赤血球へのメロゾイト侵入を阻害できたことから、今回の結果は侵入を妨害する薬剤やワクチン開発の有望な出発点となりそうである。 2011年12月22日号の Nature ハイライト 医学:がんの能動的免疫療法の成功 宇宙:赤色巨星をうまく受け流した惑星ペア 物理:量子気体における原子ブロッケード 生態:両生類を追い込む3つの脅威 遺伝:線形動物が菌叢を避ける仕組み 医学:マラリア原虫を侵入禁止にする抗体 生理:クリプトクロムはグルココルチコイドの転写を体内時計に合わせて調節する 細胞:ヒストンH2Bへの糖鎖付加修飾 生化学:AcrB薬剤トランスポーターの2つの部位 目次へ戻る