Nature ハイライト

細胞:DCCタンパク質による腫瘍抑制

Nature 482, 7386

DCC(deleted in colorectal carcinoma)タンパク質は、多くの直腸結腸がんに存在しない腫瘍抑制因子であるとされていた。しかし、DCC遺伝子のコピーの1つが欠失したマウス系統では腸の腫瘍が自然発生しないことが示され、また、DCC欠失例の多くでは隣接する腫瘍抑制遺伝子Smad4も失われていることから、DCCの腫瘍抑制機能には疑いが持たれるようになっていた。今回2つのグループが、DCCは条件的ではあるが腫瘍抑制因子であり、腫瘍細胞でのアポトーシス誘発を介して働くことを確証している。Castetsたちは、DCCのアポトーシス誘発活性を遺伝的にサイレンシングしたマウスでは頻度は低いが腸に腫瘍が生じ、また素因となるAPC変異がある場合には腫瘍発生の頻度が高くなることを示している。Krimpenfortたちは、p53を不活性化させた乳がんマウスモデルで、DCCの喪失が転移を促進することを明らかにしており、これはDCCの存在によって播種性腫瘍細胞の生存が制限されることを示唆している。

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