Nature ハイライト

構造生物学:ムスカリン受容体の構造を比較する

Nature 482, 7386

ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)はGタンパク質共役受容体のファミリーの1つを構成している。これらの膜タンパク質は、アルツハイマー病や統合失調症、慢性閉塞性肺疾患などの多様な病気で治療標的となっている。mAChRの5つのサブタイプ(M1–M5)は配列相同性が高いが、Gタンパク質と結合する際の選択性や生理機能には著しい相異が見られる。B Kobilkaが率いるグループからの2本の論文で、これら5つのサブタイプの内の2つの構造が報告された。まず芳賀和子(学習院大学)たちは、心血管機能の生理的制御に必須のM2受容体のX線結晶構造を報告している。さらにKruseたちは、気管支気道などで活性を示すM3受容体の構造を決定した。これら2つの構造の比較により、サブタイプ間の重要な相異が明らかになり、これはサブタイプ選択的な薬剤の開発に役立つと考えられる。

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