Nature ハイライト

医学:二重の作用で骨を保護

Nature 485, 7396

骨密度を維持し、増加させる作用を持つ薬剤は、この高齢化社会において緊急に必要とされている。今回、高柳広(東京医科歯科大学)たちによる新たな研究で、神経細胞の軸索伸長の調節に関与するシグナル伝達タンパク質のセマフォリン3A(Sema3A)が、破骨細胞による骨吸収を抑制し、それと同時に骨芽細胞による骨形成を増加させて、骨を保護していることが明らかになった。Sema3Aは、その受容体であるニューロピリン1と結合することで破骨細胞の分化を妨げる一方で、骨芽細胞を刺激し、脂肪細胞の分化を抑制する。Sema3Aを静脈内投与すると、骨量が増加し骨の再生が促進されたことから、Sema3Aは骨や関節の疾患の有望な治療薬になると考えられる。

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