Nature ハイライト
宇宙:地球の後期重爆撃期の証拠をたどる
Nature 485, 7396
後期重爆撃期は、一般に41億年から38億年前の時期を指しており、この期間は太陽系の内惑星への小惑星の衝突が高頻度で起こった。月にはこうした衝突の痕跡が残されたが、地球では、テクトニクス過程と侵食のためにクレーターは速やかに消失した。この後期重爆撃期に関する2編の論文の1つでB JohnsonとJ Meloshは、衝突時に放出された残骸の層であるスフェリュール層を調べて小惑星の性質を決定している。スフェリュール層の厚さは、衝突体の大きさと地球に衝突したときの速度によって変化すると考えられる。衝突の記録に当たるスフェリュール層には、地球と衝突した天体の数は、現在よりも35億年前のほうがかなり多く、後期重爆撃期以降は、衝突数が徐々に減少していったことが示されている。もう1つの論文でBottkeたちは、火星方向に現在よりも遠くまで広がっていた小惑星帯の進化をモデル化した。そして、スフェリュール層によって見つかった衝突体の大部分は、巨大惑星の一部が移動した間に破壊されたこの「E帯」におそらく由来することが見いだされた。
2012年5月3日号の Nature ハイライト
医学:mTORシグナル伝達の機構
代謝:代謝の時計を合わせる
医学:二重の作用で骨を保護
宇宙:地球の後期重爆撃期の証拠をたどる
物性:新たな準粒子オービトン
地球:ペロブスカイトが支配的な下部マントル
生化学:カリウムチャネルの制御