Nature ハイライト 材料:賢い柔軟材料 2012年7月12日 Nature 487, 7406 生物はホメオスタシス(恒常性)を介してその局所環境を制御し続けることができる。今回J Aizenbergたちは、生物のこうした能力から手がかりを得て、合成ホメオスタティック材料を作製する方法を開発した。このホメオスタティック材料は、一連の化学機械的フィードバック・ループを通して、マイクロスケールでさまざまなパラメーターを自律的に調節する。その1つのヒドロゲルに担持された触媒付き微細構造体と、反応物を含む「栄養(nutrient)」層からなる2層構造では、刺激に応答して起こるゲルの形状変化によって、微細構造体が栄養層内外へと可逆的に移動し、これが化学反応のオン/オフのスイッチとして働く。これは一種の人工ホメオスタシス系である。このような設計にすることで、有機的、無機的、また生化学的反応が、微細構造体の動きと外部からの化学的な駆動刺激に同期して可逆的かつ繰り返し可能なサイクルを示すようになる。Aizenbergたちは、この「SMARTS(self-regulated mechano-chemical adaptively reconfigurable tunable system)」を目的に合わせて作製することによって、光、pH、グルコース、圧力、酸素などの変数を調節できるだろうと述べている。応用としては、ロボット工学、医用生体工学、建築材料などが考えられる。 2012年7月12日号の Nature ハイライト 脳:うつ病の症状は分割・統治が可能? 遺伝:臨床に使えるゲノム塩基配列解読法 生化学:DNA修復反応を詳細に調べる 宇宙:暗黒物質に光を当てる 工学:流砂の謎 材料:賢い柔軟材料 進化:鳥類はいつまでも若々しい? 生態:相利共生ネットワークで重要となる数は? 神経:霊長類の神経回路に手が届く 目次へ戻る