Nature ハイライト
神経:霊長類の神経回路に手が届く
Nature 487, 7406
霊長類の巧みな手の動きには、脳の運動を制御している領域である運動皮質と、脊髄のニューロンとの直接的な接続が必要である。今回伊佐正(生理学研究所)たちは、脊椎介在ニューロンがかかわる「進化的により古く」て保存されている間接経路が、高等霊長類の手の器用な動きに役割を果たしていることを明らかにした。この研究に使われたのは、ウイルスベクターを二重に感染させてGFP標識した破傷風神経毒遺伝子を導入し、その発現を制御することにより、経路選択的にシナプス伝達を可逆的に遮断するという手法である。この方法は、霊長類での神経回路機能の詳細な解析に、広く応用できると考えられる。
2012年7月12日号の Nature ハイライト
脳:うつ病の症状は分割・統治が可能?
遺伝:臨床に使えるゲノム塩基配列解読法
生化学:DNA修復反応を詳細に調べる
宇宙:暗黒物質に光を当てる
工学:流砂の謎
材料:賢い柔軟材料
進化:鳥類はいつまでも若々しい?
生態:相利共生ネットワークで重要となる数は?
神経:霊長類の神経回路に手が届く