Nature ハイライト

脳:飢餓感を神経の面からとらえる

Nature 488, 7410

マウスで視床下部のAGRP(agouti-related protein)を発現するニューロンを刺激すると、飢餓に対する行動反応として餌探索の増強と大量の摂食を引き起こす。今回、これらの飢餓感受性ニューロンに遺伝子操作が適用可能なことを利用して、光遺伝学および薬理遺伝学の手法で、飢餓に関与する神経回路を「逆行分析」する研究が行われた。その結果、AGRP発現ニューロンはオキシトシン放出ニューロンを抑制することが明らかになった。これらのオキシトシンニューロンは、際限のない空腹感を症状の1つとするプラーダー・ヴィリ症候群で欠損が知られているニューロン群である。オキシトシンニューロンを含む抑制性回路はAGRP発現ニューロン刺激による摂食誘発に必要であり、この知見から、従来知られていなかったこの神経回路が、飢餓状態の調節や過食症と関連する経路に関与していることが明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度