Nature ハイライト

構造生物学:タンパク質構造の隠れた影響

Nature 488, 7410

X線結晶学で得られるタンパク質構造の静的な描像からは、タンパク質分子の機能に影響する立体構造について、その一部の側面しか知ることができない。例えば、タンパク質の構造と内部の動態との相互作用については考慮されていない。S-R TzengとC Kalodimosは核磁気共鳴(NMR)分光法を使って、ピコ秒からマイクロ秒までの広い時間スケールにわたって、タンパク質の内部動態が、その基底状態構造からは予測できない形でDNAとの結合を決定していることを明らかにした。細菌の遺伝子調節因子であるカタボライト活性化タンパク質(CAP)の、タンパク質–DNA結合部位から遠い位置に変異を導入することで作られた複数の変異体では、結合界面には変化が生じていないのに、DNAの結合に影響が及んでいることが明らかにされたのである。

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