Nature ハイライト

Cover Story:内耳有毛細胞の再生:成体マウスの耳の支持 細胞は感覚細胞になる能力を保持している

Nature 441, 7096

ヒトの難聴は、コルチ器官の有毛細胞が失われることから起こる。哺乳類では有毛細胞は再生しないが、鳥類など哺乳類以外の脊椎動物では、有毛細胞に隣接する支持細胞が分化転換する能力をもっており、失われた有毛細胞が再生する。このことから、哺乳類ではこの分化転換能力が完全に失われているのか、それとも潜在能力として残っているのかということが問題となる。Whiteたちは、新しい手法を使ってマウスの有糸分裂終了後の支持細胞を単離精製して、この支持細胞がin vitroで成熟有毛細胞へと発生する能力を保持していることを明らかにした。in vivoでは、再生を促すシグナルが存在しないか、阻害されているらしい。加齢に伴う支持細胞の増殖能力の衰えにはサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p27Kip1のレベルが関係しており、この知見から損傷を受けた有毛細胞の再生治療への道が開けそうだ。表紙はトランスジェニックマウスのコルチ器官で、有毛細胞は紫色、支持細胞は蛍光標識により緑色となっている。[Letter p.984; www.nature.com/podcast]

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