Nature ハイライト 生態:誠実なイメージ 2006年6月22日 Nature 441, 7096 ヒトは他人に親切にしている人を見かけたら、この先なにかあった場合、利己的だと評判の悪い人物は後回しにして、その利他的な人のほうを助けようという気持ちになる。この「イメージ評価」の行動は、ヒトの協力行動を維持するのに役立っていると考えられている。今回、R BsharyとA Grutterは、ヒト以外の動物でも、このイメージ評価行動が協力を安定維持させうることを実験的に実証した。この研究で扱った協力行動は掃除魚でみられるもので、彼らは相利的関係にある相手の魚(依頼者)の体から外部寄生虫を食べて取り除く。掃除魚は、依頼者から要請された寄生虫の除去に協力することもあれば、ほかの仲間に掃除をさせておきながら自身は「裏切って」依頼者の粘液を食べるだけのこともある。一連の採食実験により、依頼者の魚はイメージ評価を行っており、またイメージ評価を行っている依頼者がいるときには掃除魚がより協力的になることも明らかになった。 2006年6月22日号の Nature ハイライト 生態:差し迫った問題 物理:仕事をするリラクサー 植物:自然界のシロイヌナズナ 宇宙:ブラックホールの吸引力 技術:シリコンフォトニクスに向けて 地球:サンアンドレアス断層にはストレスがかかっている 生態:誠実なイメージ 免疫:T細胞を作る2種類の区画の起源 細胞:ゴルジ体の成熟 細胞:心臓の老化 目次へ戻る