Nature ハイライト
発生:神経細胞のタイムリーな再生
Nature 498, 7455
脳は、さまざまな種類のニューロンやグリア細胞で構成されているが、それらの供給源である神経幹細胞が、発生の間にこうした多様性を生み出す仕組みはほとんどわかっていない。いくつかの証拠から、神経幹細胞の分化パターンには時間に関係する部分があることが示されており、今回、共にキイロショウジョウバエをモデルに使った2つの研究によって、複数の調節カスケードの制御下で時間進行が果たす役割が明らかにされた。O BayraktarとC Doeはハエ幼虫の脳を用い、C Desplanのグループはハエの視覚系を用いて、神経前駆細胞が時間経過とともに変化し、複数の調節タンパク質を連続する波のように産生して、子孫細胞に当たるニューロンやグリア細胞のサイズや多様性を増やすことを示した。同様の神経前駆細胞や相同な調節タンパク質は発生中の哺乳類の脳でも見つかっていることから、こうした時間経過に沿ったパターン形成は、ヒト新皮質のニューロンの複雑さの生成にも関わっている可能性が高い。
2013年6月27日号の Nature ハイライト
発生:神経細胞のタイムリーな再生
宇宙:赤色巨星から白色矮星になる脈動星
量子物理学:原子と光の量子もつれの新しい方法
フォトニクス:脚光を浴びるシリコン
地球:マントル安定性が生じさせる地質学的乱流
神経生物学:蚊が嗅ぎつけるのを防ぐには
発生:再生能を持つ心筋細胞
免疫:BACH2の抗炎症作用
分子生物学:eRNAの調節的働き