Nature ハイライト

神経生物学:蚊が嗅ぎつけるのを防ぐには

Nature 498, 7455

著者の血を吸うネッタイシマカの雌。
著者の血を吸うネッタイシマカの雌。 | 拡大する

Credit: Zach Veilleux (The Rockefeller University)

ガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)やネッタイシマカ(Aedes aegypti)のような、ヒトの病気を媒介する動物の中でも最も危険な部類の蚊は、それほど危険性の高くない蚊が幅広い脊椎動物の血液を餌にしているのに対し、ヒトの血液に高い選好性を示すという点で異なっている。しかし、蚊がヒトとヒト以外の動物をどのようにして区別するのかはよくわかっていない。今回L Vosshallたちは、ネッタイシマカで遺伝子ターゲッティング法を用いて、二酸化炭素(誘引物質として働く呼気ガス)の存在下ではヒトにも動物宿主にも強く誘引されるが、ヒトへの選好性は示さない雌変異体を作り出した。この変異体では、昆虫のあらゆる嗅覚受容体に不可欠な補助受容体をコードするorco遺伝子が破壊されている。興味深いことに、雌のorco変異体は、昆虫忌避剤であるDEETが存在してもヒトに誘引されるが、DEETに接触すると忌避行動を示すようになる。このことから、DEETの作用には嗅覚を介するものと接触によるものの両方があると考えられる。

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