Nature ハイライト 神経:タバコの脳への活性化刺激と嗜癖は結びついている 2005年7月7日 Nature 436, 7047 ニコチンは脳に活性化刺激を与えるが、ニコチン嗜癖により今世紀中に1億人もの人が命を落とすと言われている。マウスでの新たな研究で、脳の活性化とニコチン嗜癖に、脳の同じ系がかかわっていることが明らかにされた。つまり、活性化と嗜癖は切り離せそうもないことになる。 J-P Changeuxたちの報告によれば、脳の腹側被蓋野(VTA)という領域にある、ニコチン性アセチルコリン受容体と呼ばれる細胞表面タンパク質のサブユニットの1つが、両方の作用を仲介するという。彼らはこの分子をもたないマウスを作出し、脳のVTA領域特異的にこの分子を再発現させて、この事実を発見した。 行動試験では、VTAで受容体機能が回復したマウスは、受容体を欠失したマウスに比べて、ニコチンを探し求める率が高かった。また、これらのマウスの活動を観察したところ、受容体機能回復マウスでは探索行動が多くみられた。 2005年7月7日号の Nature ハイライト 宇宙:火星の乾いた塵 神経:タバコの脳への活性化刺激と嗜癖は結びついている 癌:黒色腫細胞で増幅されている遺伝子 神経:網膜が脳に伝えないこと 物理:光子にも赤信号 : 目次へ戻る