Nature ハイライト

物理:光子にも赤信号

Nature 436, 7047

電子チップ内の単一電子輸送は、「クーロンブロッケード」効果を利用して制御できる。この効果は小さな島に電子が過剰に存在することによって、それ以上の電子の流れを妨げるものだ。今回J Kimbleたちによって、同じ効果が光子に対して観測された。  光子ブロッケードは、ここ10年ほど理論として注目を集めているが、光子どうしは直接相互作用しないため、この効果を実験室で作り出すことは技術的に困難であった。しかし、光共振器に捕らえられた単一原子を使い、原子と周囲の場の間で光子の可逆的な交換を行うように調整すれば、光子ブロッケードを実現できる。原子は光子を1つ吸収しエネルギーを得て第1励起状態に遷移するが、後続の光子は、原子を第2励起状態に遷移させるのにぴったりと合うエネルギーを持っていないため、吸収されない。透過する光子が古典的な光ビームで予測されるよりも規則的に届くことをKimbleたちは観測したが、これは光子ブロッケードの特徴を示すものである。今回の実験で光物理学は、個別粒子の量子効果を特徴とする新たな領域に進むことになる。

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