Nature ハイライト
気候:10万年周期の氷河作用を支える駆動力
Nature 500, 7461
過去100万年にわたって、地球の気候では10万年周期の氷河作用が支配的であり、それに伴って、北半球の氷床の前進と後退が起こっていた。地球の軌道と自転軸の太陽に対する方向の恒常的な変化によって生じる、日射量つまり地表に到達する太陽放射の量の変動は、氷河作用と密接に関連しているが、この周期を駆動する物理機構はまだよく分かっていない。今回、阿部彩子(東京大学ほか)たちは、日射量の変動が氷床の大きさや固体地球と相互作用して、この10万年周期を制御していることを示した。彼らのモデルから、日射量、気候、氷床下の地面の高度の間の内部フィードバックによって氷床が徐々に成長し、最大の大きさに達し得ることが示された。その点では、固体地球の応答の遅れに起因して氷床高度が低下すると、日射量のわずかな増加によって、ほんの数千年で氷床が破壊され得ることになる。
2013年8月8日号の Nature ハイライト
進化:混迷が深まる初期哺乳類進化の研究
宇宙:制御されたエンセラダスのプリューム
光学:期待されるスクイーズド光チップ
気候:10万年周期の氷河作用を支える駆動力
遺伝学:HeLa細胞のゲノムは意外に安定している
発生:内耳の再生
遺伝学:ビタミンCは幹細胞の機能に影響する
免疫:胃を落ち着かせる細菌カクテル
生化学:プリン代謝の安全弁