Nature ハイライト
システム生物学:代謝にサイクリックAMPが担う包括的役割
Nature 500, 7462
サイクリックAMP(cAMP)は、分子生物学の分野で早期に見つかって、集中的に研究が行われてきたシグナル伝達分子の1つで、細菌では炭素の代謝にもっぱら関わっていると一般に考えられている。今回、T Hwaたちは、cAMPがもっと広範囲にわたる生理的役割を持っていることを明らかにしている。こうした役割によって、cAMPシグナル伝達は、例えば窒素やリンなどのような全ゲノム資源を全体的な代謝要求に応じて配分するのを調整する。著者たちは、「定量的現象学(quantitative phenomenology)」と呼ばれるあまり使われたことのないトップダウン手法を用いて、この分子生物学の常識を書き換えるような結果に到達した。この手法は、哺乳類細胞でのがん形成などの他のシグナル伝達経路に関するシステム生物学的研究にも使える可能性がある。
2013年8月15日号の Nature ハイライト
遺伝:XISTによる余剰染色体のサイレンシング
システム生物学:代謝にサイクリックAMPが担う包括的役割
宇宙:自転するマグネターのスペクトル解析
量子情報科学:効率の良いオンデマンドのテレポーテーション
気候:気温が上昇しても、気候は予測できる
遺伝:アブラヤシのゲノムから明らかになったその栽培史
微生物学:分泌系T6SSが毒素を送り込む仕組み
細胞生物学:プログラム細胞死に至る2つの道
構造生物学:TボックスのtRNA結合部位の構造