Nature ハイライト

構造生物学:TボックスのtRNA結合部位の構造

Nature 500, 7462

細菌のTボックスリボスイッチは、アミノアシルtRNA合成酵素をコードしている遺伝子の5′非翻訳領域に見られる。この酵素は、tRNAにアミノ酸を結合させる。このリボスイッチが他のリボスイッチと違うのは、発現を制御するために、代謝産物や小分子でなくtRNAと結合する点である。J ZhangとA Ferré-D’Amaréは今回、TボックスのtRNA結合領域であるステムIがtRNAと結合した複合体の結晶構造を解いた。長く待たれていたこの構造から、この領域がアンチコドンのみでなくtRNA全体を包んで、広い界面を形成していることが示された。TボックスのRNAとtRNAが互いに形を変えて適合することが、結合を起こりやすくしている(誘導適合)。Tループモチーフが、リボヌクレアーゼPとリボソーム大サブユニットの1つのドメインとの間に見られるのと同様の相互作用に関わっているが、これら3つの分子種は進化上の共通祖先を持っていない。

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