Nature ハイライト
構造生物学:TボックスのtRNA結合部位の構造
Nature 500, 7462
細菌のTボックスリボスイッチは、アミノアシルtRNA合成酵素をコードしている遺伝子の5′非翻訳領域に見られる。この酵素は、tRNAにアミノ酸を結合させる。このリボスイッチが他のリボスイッチと違うのは、発現を制御するために、代謝産物や小分子でなくtRNAと結合する点である。J ZhangとA Ferré-D’Amaréは今回、TボックスのtRNA結合領域であるステムIがtRNAと結合した複合体の結晶構造を解いた。長く待たれていたこの構造から、この領域がアンチコドンのみでなくtRNA全体を包んで、広い界面を形成していることが示された。TボックスのRNAとtRNAが互いに形を変えて適合することが、結合を起こりやすくしている(誘導適合)。Tループモチーフが、リボヌクレアーゼPとリボソーム大サブユニットの1つのドメインとの間に見られるのと同様の相互作用に関わっているが、これら3つの分子種は進化上の共通祖先を持っていない。
2013年8月15日号の Nature ハイライト
遺伝:XISTによる余剰染色体のサイレンシング
システム生物学:代謝にサイクリックAMPが担う包括的役割
宇宙:自転するマグネターのスペクトル解析
量子情報科学:効率の良いオンデマンドのテレポーテーション
気候:気温が上昇しても、気候は予測できる
遺伝:アブラヤシのゲノムから明らかになったその栽培史
微生物学:分泌系T6SSが毒素を送り込む仕組み
細胞生物学:プログラム細胞死に至る2つの道
構造生物学:TボックスのtRNA結合部位の構造