Nature ハイライト
量子情報科学:効率の良いオンデマンドのテレポーテーション
Nature 500, 7462
量子テレポーテーションは、量子情報処理における最も重要な基本的プロトコルの1つである。これまでの研究によって量子テレポーテーションが実現されているが、そうした量子テレポーテーションはランダムに起こり、速度が遅いことが多かった。今回2つのグループが、対照的な方法を使って、同じ目的、すなわちより効率の良い量子テレポーテーションを実現したことを報告している。武田俊太郎(東京大学)たちは、テレポーテーションの古典的限界を超える総合伝送忠実度で、情報伝送の最適な選択肢である光子キュービットの完全に決定論的な無条件量子テレポーテーションを実験的に実現したことを報告している。この手法によって、大規模な光量子ネットワークの開発が促進される可能性がある。L Steffenたちは、固体系における量子テレポーテーションについて報告し、チップベースの超伝導回路アーキテクチャーにおいて決定論的な量子テレポーテーションを実現している。彼らは、6 mm離れた2つの巨視的な系の間で、1秒当たり10,000回という、報告されている他の実現結果を超える速度で量子状態をテレポートしている。超伝導導波路における伝送損失は低いため、この系は著しく遠い距離まで拡大可能と考えられ、マイクロ波周波数の量子通信に向けた一歩となる。
2013年8月15日号の Nature ハイライト
遺伝:XISTによる余剰染色体のサイレンシング
システム生物学:代謝にサイクリックAMPが担う包括的役割
宇宙:自転するマグネターのスペクトル解析
量子情報科学:効率の良いオンデマンドのテレポーテーション
気候:気温が上昇しても、気候は予測できる
遺伝:アブラヤシのゲノムから明らかになったその栽培史
微生物学:分泌系T6SSが毒素を送り込む仕組み
細胞生物学:プログラム細胞死に至る2つの道
構造生物学:TボックスのtRNA結合部位の構造