Nature ハイライト

化学:金を選ぶ

Nature 437, 7062

石油やガス中に含まれる炭化水素分子に、酸素を直接空気から取り込ませる効率のよい手法が考案された。この新しい手法は金の微粒子を利用して反応を進めるもので、強い酸化剤の使用や有毒廃棄物の発生を伴う工業的方法に取って代わる可能性がある。  G J Hutchingsたちは金ナノ粒子は常圧下において、摂氏60〜80度という比較的低い温度で酸素分子を活性化するために、酸化反応をスピードアップできることを見いだした。また、溶媒(すべての反応分子を溶かす液体)を変えて反応を微調節すれば、目的の生成物を得られることも報告されている。これによって、例えば、1個の酸素原子が2個の炭素原子の間を橋渡ししているエポキシドと呼ばれる分子を選択的に作り出し、しかもそれがさらに酸化されないようにできる。  「炭化水素の選択的酸化は、現代の化学工業にとって計り知れないほど重要である。酸素含有有機化合物は、合成洗剤、塗料、化粧品、食品添加物などの生産に特に多く使用されている」と春田正毅がNews and Viewsでコメントしている。

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