Nature ハイライト

細胞生物学:大きく広がるヒトタンパク質の相互作用

Nature 437, 7062

2万2000個あるヒトのタンパク質コード遺伝子すべての塩基配列の解読が済み、今度はこれらのタンパク質相互間の作用の解明が試みられている。今週号には、この問題への取り組みの第一歩となるM Vidalたちの研究が掲載されている。  Vidalたちは8,100種類のタンパク質を調べ、2,800の相互作用を検出し、100種以上の疾患関連タンパク質について、300を超える新たな関係を明らかにした。これらの相互作用の78パーセントは、別の生化学的手法を用いて確認できた。  キュレーションされたデータベースとの比較からは、今回見つかった相互作用の96%が新しく見つかった相互作用であることが示唆されたが、Vidalたちは文献を調べて85%が新規な相互作用であると結論している。また、この研究からタンパク質の相互作用が、進化の過程でどのように変化してきたかもうかがい知ることができそうだとVidalたちは言っている。進化上、同一レベルにあるタンパク質は相互作用する確率が高いらしい。例えば、ヒトに特異的なタンパク質は、多細胞動物すべてに見られるタンパク質とよりも、同じヒト特異的タンパク質どうしで相互作用する確率の方が高い。  ヒトの全タンパク質の完全な相互作用データベースの完成まで、まだ道のりは遠い。今回の研究で明らかになったのは、ヒトの全「インタラクトーム」(包括的、網羅的にとらえたタンパク質間相互作用)のほぼ1%だろうと著者たちは考えている。

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