Nature ハイライト ウイルス:鳥インフルエンザのタミフル耐性株を確認 2005年10月20日 Nature 437, 7062 今年の2月に、ひとりのベトナム人少女が感染した鳥インフルエンザウイルスH5N1株は、抗ウイルス薬オセルタミビル(商品名タミフル)に耐性を示すことが、河岡義裕たちによって明らかにされた。少女は回復したが、この発見により、H5N1型の流行が起きた場合に、オセルタミビルによる治療だけでは不十分かもしれないという懸念が生じている。 また状況から見て、少女が鳥から直接感染したのではなく、兄弟から感染した可能性もある。しかし、この真偽を見極めるためにはまず、この症例に似た、ヒトからヒトへの感染が疑われるインフルエンザの症例をもっと数多く調べて検証する必要がある。 オセルタミビルは、ウイルスの酵素ノイラミニダーゼの阻害剤である。今回、研究チームは、このウイルス株のノイラミニダーゼに見られる突然変異がオセルタミビル耐性の原因であることを突き止めた。ところが、この耐性ウイルスをフェレットに感染させたところ、やはりノイラミニダーゼを阻害する別の薬剤ザナミビル(商品名リレンザ)には感受性を示すことがわかった。「H5N1型インフルエンザの大流行に備えて、オセルタミビルに加えてザナミビルも備蓄しておけば助けになるだろう」と河岡たちは結論づけている。 2005年10月20日号の Nature ハイライト 化学:金を選ぶ ウイルス:鳥インフルエンザのタミフル耐性株を確認 エレクトロニクス:1個の原子を的のど真ん中に命中させる 進化:節足動物の頭部の謎を解く 細胞生物学:大きく広がるヒトタンパク質の相互作用 : 目次へ戻る