Nature ハイライト
古生物学:太古の海生爬虫類の本当の体色
Nature 506, 7489
通常は化石として残らない組織が有機炭素薄膜として保存された場合、その化石記録から意外な事実が明らかになることがある。その最新例が今回報告された。3種の海生爬虫類の化石(5500万年前のオサガメ類、8600万年前のモササウルス類、および1億9600万~1億9000万年前の魚竜類)に、保存された分子状メラニンを含む皮膚の痕跡が残っており、メラニンに付随して壊れたメラノソームも見られることが明らかになった。メラニンは多くの動物に見られる色素で、体色から体温調節まで多くの役割を担っている。系統的に離れていて見た目も大きく異なるこれら3種の海生爬虫類にメラニンが存在していたことは、寒冷な海域で生存できた可能性など、これらの爬虫類の生態解明に関わってくる。今回の結果は、化石で得られる色素沈着についての現在の知識をさらに増やすものであり、さまざまな絶滅生物の体色を復元するのに役立つと考えられる。
2014年2月27日号の Nature ハイライト
がん:小児上衣腫のゲノム解析
細胞生物学:クローン病の遺伝学
宇宙:鉄を含まない星
素粒子物理学:かつてない精度で求められた電子質量
大気科学:森林から放出される物質がエアロゾルになるまで
地球化学:噴火間際にとらえられたマグマ
古生物学:太古の海生爬虫類の本当の体色
微生物学:細菌の形を決めるSpmX
遺伝学:酵母で遺伝子のばらつきをマッピングする