Nature ハイライト

古生物学:太古の海生爬虫類の本当の体色

Nature 506, 7489

オサガメの祖先(上)やモササウルス(下)は、背中が暗色で腹部が淡色というカウンターシェイディングと呼ばれる体色パターンをしていたが、魚竜(中央)の体色は一様に黒っぽかった。
オサガメの祖先(上)やモササウルス(下)は、背中が暗色で腹部が淡色というカウンターシェイディングと呼ばれる体色パターンをしていたが、魚竜(中央)の体色は一様に黒っぽかった。 | 拡大する

Credit: Stefan Sølberg

通常は化石として残らない組織が有機炭素薄膜として保存された場合、その化石記録から意外な事実が明らかになることがある。その最新例が今回報告された。3種の海生爬虫類の化石(5500万年前のオサガメ類、8600万年前のモササウルス類、および1億9600万~1億9000万年前の魚竜類)に、保存された分子状メラニンを含む皮膚の痕跡が残っており、メラニンに付随して壊れたメラノソームも見られることが明らかになった。メラニンは多くの動物に見られる色素で、体色から体温調節まで多くの役割を担っている。系統的に離れていて見た目も大きく異なるこれら3種の海生爬虫類にメラニンが存在していたことは、寒冷な海域で生存できた可能性など、これらの爬虫類の生態解明に関わってくる。今回の結果は、化石で得られる色素沈着についての現在の知識をさらに増やすものであり、さまざまな絶滅生物の体色を復元するのに役立つと考えられる。

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