Nature ハイライト
細胞生物学:クローン病の遺伝学
Nature 506, 7489
クローン病は先進国でかなりの健康問題となりつつある慢性炎症性腸疾患で、オートファジー関連遺伝子ATG16L1のThr300がAlaになる多型(T300A)はこの病気の重要な感受性因子であることが認められている。今回、Th300は、カスパーゼがヒトATG16L1を切断するP1′部位に存在していて、T300Aはカスパーゼ3による切断に対するATG16L1の感受性を上昇させることが明らかにされた。これによって、代謝ストレスやデス受容体の刺激に応答して起こるオートファジー誘導が低下して、炎症性サイトカインの分泌増加につながる。これらの結果から、カスパーゼ3活性化経路を抑制するような治療が、ATG16L1の安定化などによって、オートファジーと腸の恒常性を回復させる可能性が考えられる。
2014年2月27日号の Nature ハイライト
がん:小児上衣腫のゲノム解析
細胞生物学:クローン病の遺伝学
宇宙:鉄を含まない星
素粒子物理学:かつてない精度で求められた電子質量
大気科学:森林から放出される物質がエアロゾルになるまで
地球化学:噴火間際にとらえられたマグマ
古生物学:太古の海生爬虫類の本当の体色
微生物学:細菌の形を決めるSpmX
遺伝学:酵母で遺伝子のばらつきをマッピングする