Nature ハイライト 宇宙:最初の星のかすかな光 2005年11月3日 Nature 438, 7064 米国の研究チームが、宇宙で最初にできた星からのかすかな光を検知したと報告している。 これらの最古の星は種族IIIとして知られ、ビッグバン後2億年以内に原始のガスと塵の中からできたと考えられている。現在これらの星は、既存のあるいは建設計画中のどんな望遠鏡でも観測できないが、宇宙空間に放射したエネルギーからは検知できるはずである。このエネルギーは、現在の宇宙全体にあまねく広がる光の一部であると考えられており、この光は宇宙赤外線背景放射(CIB)と呼ばれている。 しかし、問題はもっと若い星もすべてCIBにかかわっていることである。種族IIIの星が出す光を見分けるのは、大所帯のオーケストラで個々のバイオリンが奏でる音色を聞き分けるようなものだ。CIBに残された最古の星の痕跡を捉えようという試みはこれまでもなされてきたが、背景の「不協和音」からそれをはっきりと分離することはできなかった。今回、NASAゴダード宇宙飛行センターのA Kashlinskyたちは、これを捉えたと確信している。 この研究チームは、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡を使ってCIBの測定を行った。他の星や銀河からの関与分を丁寧に吟味して取り去ると、残りの赤外線放射が宇宙全体に不均一に広がっているのが発見された。Kashlinskyたちは、この放射の状態は種族IIIの星の集まり具合を反映しているのだろうと考えている。 2005年11月3日号の Nature ハイライト 宇宙:最初の星のかすかな光 細胞:マラリア原虫のタンパク質ネットワーク配線は特別 気候:火山噴火が海面上昇を遅らせる 細胞:藻類の多くはビタミンを要求する 海洋:光を利用して「動物型」代謝を行う細菌 : 目次へ戻る