今週号に報告された研究によると、火山噴火は海面上昇を遅らせる可能性があるようだ。 火山が噴火すると微粒子やガスが大気中に放出され、それらは太陽放射を反射して宇宙に送り返し、その結果海面を冷やす働きをする。海面は主に2つの理由によって上昇する。1つは、氷の融解による水の流入、もう1つは、暖かな海水ほど体積が大きいことである。だから、火山性物質によって海洋の膨張に歯止めがかかる可能性が出てくるのだ。 J A Churchたちは、海洋の熱容量の観測結果と複数の気候シミュレーションを用いて上記のような結論に達した。例えば、1991年のピナツボ火山の噴火が原因となって、5mm海面が低下したことが明らかになった。 A CazenaveはNews and Viewsで、「海面上の気温は数年のうちに回復するが、海の冷却効果は少なくとも10年間は持続する。なぜならば、海洋の熱容量は大気に比べて大きく、海洋循環による熱の再分配の速度が遅いためである」と述べている。 この効果を考えれば、1993年以降はその前の40年間のデータに比べると比較的速いペースで海面上昇が進行している理由も説明できるかもしれない。近年の海面上昇の一部は、ピナツボ火山の影響が徐々に消滅するにつれて海洋の状態が「回復」してきたことが原因である可能性があるとChurchたちは考えている。