Nature ハイライト
Cover Story:木星の内側:米国立点火施設で巨大惑星の内部が再現された
Nature 511, 7509
表紙は、米国カリフォルニア州ローレンス・リバモア国立研究所内の国立点火施設(NIF)で使われているターゲットチェンバーの内部である。右側から進入してくるのはターゲットの位置決めを行う装置で、この上にセンチメートルスケールのターゲットが載っている。超高圧条件下の物質の挙動に関する情報は、木星や多くの系外惑星のような巨大惑星の内部状態を記述するのに不可欠である。NIFでは、衝撃波を使わない動的(ランプ)圧縮による最高5,000万気圧までの高圧下で、実験室天体物理学の研究を行っている。R Smithたちは、核融合実験で使われる温度より低い温度で行われたNIFとの共同研究で、巨大惑星内深部の条件の再現で実験の新たな基準となる結果を達成し、12 g cm−3という前例のない密度にまで圧縮した炭素の性質について報告している。この結果は、量子力学の初期段階で開発された量子統計理論の最も直接的な実験検証の一部ともなっている。(Letter p.330; N&V p.294)