Nature ハイライト

細胞:角膜の発生と修復におけるABCB5遺伝子の働き

Nature 511, 7509

目の角膜輪部上皮基底部に存在する角膜輪部上皮幹細胞(LSC)は、角膜上皮の恒常性と再生を維持する働きをしている。怪我や病気によってLSCが失われることは、最もよく見られる失明の原因の1つである。今回B Ksanderたちが、ABC輸送体であるABCB5がLSCの維持、角膜の発生と修復に不可欠な機能を持ち、マウスとヒトの目のLSCの識別に使えるマーカーであることを突き止めた。LSCの移植実験から、ABCB5を発現する細胞が、角膜の疾患、特にLSCの異常による角膜性の視覚障害の治療に使える可能性が示された。一方、H Ouyangたちは、フィーダー細胞を使わない培地でのLSCの培養法を確立し、WNT7A–PAX6シグナル伝達系が角膜細胞系列への分化の指定に果たす役割を明らかにし、これが角膜表面疾患の治療標的になる可能性を示している。

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