Nature ハイライト

がん:がん細胞の防御用被覆

Nature 511, 7509

細胞表面を覆うグリコカリックス(糖衣)と呼ばれる層は糖タンパク質と多糖からなり、その組成は組織の分化や疾患などの細胞の性質の変化によって変化する。V Weaverたちは、がん細胞でのグリコカリックスの組成変化が、がんの表現型に関わっているのかどうかを調べ、かさばるグリコカリックスは転移性がん細胞の特徴であって、大型の糖タンパク質が産生された結果であることを明らかにした。このようなグリコカリックスは、糖タンパク質で接着に関わる分子のインテグリンを物理的に捕捉し、その結果、細胞の生存と増殖を進めるシグナル伝達が促進される。臨床研究からは、悪性の乳がん患者で見られる循環中腫瘍細胞では、大型の糖タンパク質が大量に発現していることが明らかになった。今回の結果は、グリコカリックスとその構成分子が、膜貫通型受容体シグナル伝達の正常化を目的とした治療の標的として有望である可能性を示唆している。

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