Nature ハイライト
分子生物学:いちかばちか進化に賭ける
Nature 512, 7513
進化生物学は予測的科学となることができるだろうか。この疑問に対する答えは、進化の道筋の形成過程で偶然に起こる歴史的事象の役割の定量的尺度を開発できることが示せるかどうかに大きくかかっている。これを念頭に、M HarmsとJ Thorntonは、グルココルチコイド受容体の祖先型の数千の変異体のデーターベースを出発点として、新たなリガンド特異性を生み出すような、より影響力の強い変異の出現につながる変異を探索した。そして、そのような変異は歴史的な許容的変異の他には無いことが分かった。今回の結果から、このクラスのホルモン受容体の進化は、まれで非決定的な事象に極めて強く依存しており、タンパク質の生物物理学的性質によって制限されることが明らかになった。進化の偶然性は、小惑星の衝突あるいは気候変動による絶滅などの偶然の外力という形で見られることがしばしばだが、この研究は生命系固有の構成がより強力な偶然性の源であることを示している。
2014年8月14日号の Nature ハイライト
がん:乳がんに見られる細胞不均一性
宇宙:ラブルパイル小惑星を形作る凝集力
材料科学:純金属でガラスを作る
惑星科学:月はどのようにして形成されたか
神経科学:アルコール乱用を予測する因子
老化:衰える血液幹細胞
分子生物学:いちかばちか進化に賭ける
分子生物学:ISWI酵素群によるヌクレオソームの位置取り調節機構