Nature ハイライト
がん:肝臓がんの誘導機序
Nature 513, 7516
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)の、がんと関連した機能獲得型変異は、α-ケトグルタル酸依存的ジオキシゲナーゼ酵素を阻害できる「がん代謝物」、2-ヒドロキシグルタル酸(2HG)を産生する。今回、N Bardeesyたちは、2HGが発がんにおいて積極的な役割を担っていることを示している。変異型IDH は、2HGの産生と幹細胞分化のマスター調節因子HNF-4αの抑制を介して、肝前駆細胞が肝細胞系譜へと進行しないように阻害する。さらに、変異型IDHは活性型Krasと同時に存在すると、肝前駆細胞の増殖、前悪性状態の胆道病変の形成、転移性の肝内胆管がんのプログレッションを促進する。今回用いられたトランスジェニックマウスモデルは、IDHの機能についての研究をさらに推し進めるものであり、現行の治療に耐性のある胆管がんとの関連において、特に重要である。
2014年9月4日号の Nature ハイライト
実験進化学:前進するのに最適な鰭
微生物学:肝硬変と腸内マイクロバイオームとの関連
がん:eIF4とがんタンパク質との相互作用
材料:コロイド膜の相分離
地球物理学:マントル・プリュームの上の表面地形
免疫:RIPK1は細胞死の活性化と阻害の両方に関わっている
がん:肝臓がんの誘導機序
ゲノミクス:編集されたゲノムから浮き彫りになること
構造生物学:糖尿病治療薬の標的であるGPR40の構造