Nature ハイライト
量子物理学:量子コンピューターの新たな局面
Nature 514, 7520
実用的な量子コンピューターを開発する上での障害の1つは実質的なエラー訂正法の必要性だが、こうした訂正法が必要なことは広く了解されている。しかし、そうした方式によると、計算過程が遅くなり、量子技術で可能となる利点の一部が失われる可能性がある。これとは別の方法では、幾何学的法則による保護などによって、雑音に対してロバストで本質的にフォールトトレラントな量子計算原理を使うことになる。全幾何学的な量子計算の実験がいくつか報告されているが、その場合の難問はスケーラブルなプラットフォームを見いだすことである。今回L Duanたちは、ダイヤモンド欠陥中心に存在するスピンによる幾何学的量子ゲートのユニバーサルセットを実験的に実現したことを報告している。実験は1個のダイヤモンド欠陥中心にある2個のキュービットに基づいているが、今回の成果から、室温における全幾何学的でロバストな固体量子計算へ向かう有望な方向が示された。
2014年10月2日号の Nature ハイライト
医学:進行したエボラウイルス感染症に対する免疫療法
がん:腫瘍サブクローンの相互作用
微生物学:ヒト皮膚バイオームの探索法
宇宙:タイタンの非季節性の氷雲
量子物理学:量子コンピューターの新たな局面
分光学:キラルセンシングを後押し
気候科学:氷河下の圧力変動に対する氷の速度応答
地球ダイナミクス:2011年東北沖地震を理解する
細胞:RETがん原遺伝子は幹細胞の生存を助ける
分子生物学:DNA修復におけるMRX複合体の活性