Nature ハイライト
分子生物学:DNA修復におけるMRX複合体の活性
Nature 514, 7520
DNA二本鎖切断部での相同組換えには、3′末端に一本鎖尾部のある分子が使われるが、それには5′末端を持つ側のDNA鎖の切除が必要である。これまでの遺伝学的解析によって、このDNA鎖切除には、修復タンパク質Mre11、Rad50、Xrs2からなるMRX複合体が必要なことが示されている。しかし、この複合体のin vitroでの活性については、3′ → 5′方向の切除しか起こらないという、不可解な結果が得られていた。今回、この謎が、E CannavoとP Cejkaの酵母を使った実験によって解決された。酵母ではSae2ヌクレアーゼがMRXを活性化し、まず5′末端側のDNA鎖にエンドヌクレアーゼ活性によって切れ目を入れることが分かった。これによって、MRXは、ここから3′ → 5′方向へと戻りながら、5′末端側DNA鎖を端まで分解できるようになる。この活性はDNA末端がふさがれると誘導され、これは減数分裂などのin vivoでの状況と一致している。減数分裂では、二本鎖切断が生じた後に、Spo11複合体が結合したままになるのである。
2014年10月2日号の Nature ハイライト
医学:進行したエボラウイルス感染症に対する免疫療法
がん:腫瘍サブクローンの相互作用
微生物学:ヒト皮膚バイオームの探索法
宇宙:タイタンの非季節性の氷雲
量子物理学:量子コンピューターの新たな局面
分光学:キラルセンシングを後押し
気候科学:氷河下の圧力変動に対する氷の速度応答
地球ダイナミクス:2011年東北沖地震を理解する
細胞:RETがん原遺伝子は幹細胞の生存を助ける
分子生物学:DNA修復におけるMRX複合体の活性