Nature ハイライト 古気候:過去2,000年の温度変化 2005年2月10日 Nature 433, 7026 過去2,000年の気候は、これまで考えられていたより変化に富んでいたようだ。しかし、1990年代がそのなかでも最も温暖な10年であることが改めて確認された。約150年前より昔の観測記録に基づく気候の再現は、木の年輪や堆積物組成などの不完全な気候指標に頼っている。年輪は気温の年次変化を正確に記録しているが、信頼性の高い長期傾向を引き出すことは難しい。一方、堆積物は長期変化記録の優れた指標であるが、年次変動が失われている場合がある。A Mobergたちはこの2つ代理指標から、記録された変動を最適な時間スケールで抽出し、得られた結果を「ウェーブレット解析」と呼ばれる統計学的手法で組み合わせた。その結果、AD 1600年頃の北半球の平均気温は、基準とした1961〜1990年の気温より0.7℃低いことがわかった。またAD 1000〜1100年の100年間は、20世紀の最初の90年間と同じくらい温暖であった。複数の代理指標を用いて以前に行われた研究では、過去の気温変化は今回得られた結果の半分程度と結論されていた。しかし、1990年以降の気温の高さはそれでも際立っている。「Mobergたちは、異なる代理指標から得られる情報をうまく組み合わせて、それぞれの指標に含まれる偏りのない気候情報が用いられるようにするという方法で問題に取り組み、成果をあげている」とD AndersonはNews and Viewsで述べている。 2005年2月10日号の Nature ハイライト 医学:BRCA2の類似体が壊れたDNAを修復 細胞:前駆細胞で心臓の修理が可能に? 動物行動:方向を定めて空中降下するアリ 化学:細菌型の燃料電池を作る 古気候:過去2,000年の温度変化 動物行動:タコの腕はヒト並みに器用に動く : 目次へ戻る