Nature ハイライト 癌:乳癌素因の新しい手がかり 2005年3月31日 Nature 434, 7033 BRCA2遺伝子の変異は、この遺伝子がコードするタンパク質の活性を制御する機構の働きを阻害するらしい。BRCA2遺伝子の変異を受け継いだ人の80%は、やがて早発性乳癌や卵巣癌などの癌を発症する。この遺伝子がコードするタンパク質の野生型は、DNA損傷の修復にかかわるタンパク質RAD51と結合することによって、DNA修復に役割を果たしている。腫瘍の発生は、DNA損傷の修復機構に欠陥があるためとされているが、S Westたちによれば、この2つのタンパク質の相互作用は、BRCA2のカルボキシ末端のリン酸化によって阻害されるという。癌に結びつくBRCA2変異の中には、自身のリン酸化状態を変化させるものがあり、それによってDNA修復の正常な制御ができなくなる。これらの結果は、BRCA2の遺伝性変異が癌の素因につながることがある理由を知る手がかりとなりそうだ。 2005年3月31日号の Nature ハイライト 癌:乳癌素因の新しい手がかり 生化学:RNA干渉を構造から探る 分光学:光合成のエネルギーフローをマッピング 地球:津波をもたらした地震は記録上第2の大きさだった 進化:性のありがたみを酵母で実証 : 目次へ戻る