Nature ハイライト

生化学:RNA干渉を構造から探る

Nature 434, 7033

RNA干渉では、RNAが誘導するサイレンシング複合体によって標的遺伝子のサイレンシングが起こるが、これに重要な意味をもつ構造的性質についての初めての報告が2編、今週号に掲載されている。 RNA干渉は、特定の遺伝子の発現をRNAを使って抑制するしくみで、ハンチントン病の遺伝子のような病因遺伝子を抑制するのに有望な手段である。RNAの短い断片(ガイド分子とよばれる)とArgonauteタンパク質からなる複合体が、RNA干渉を制御すると考えられている。この複合体の遺伝子サイレンシング機能は、相補的なメッセンジャーRNAを特定部位で切断することによっており、これを行うのがArgonauteタンパク質のPiwiとよばれるよく保存されたドメインである。 Argonauteタンパク質の構造は以前に解明されたが、そこにはガイド分子となるRNA断片は含まれていなかった。そこでD Barfordたちは、短鎖干渉RNAとよく似た短いガイド分子と結合した、好熱硫黄細菌Archaeoglobus fulgidusのPiwiタンパク質の構造を明らかにした。また、D Patelたちは二本鎖RNAに結合したA. fulgidusのPiwiタンパク質の結晶構造を解明した。これらの構造は、複合体による切断が起こるのに際して、標的であるメッセンジャーRNAを見つけだして結合する機構の解明に役立ちそうだ。 Nature Structural and Molecular Biologyには、短鎖干渉RNAと結合した組換えArgonauteタンパク質が正確に標的RNAを切断することがL Joshua-Torたちから報告されている。

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