Nature ハイライト 医学:乳癌の新しい治療法 2005年4月14日 Nature 434, 7035 BRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子の変異によって生じる乳癌の進行を、DNA修復段階に干渉するという新しい標的療法で抑えることができるかもしれない。BRCA1とBRCA2は、DNA損傷部分が対応する正常領域と交換される、「相同組換え」型のDNA損傷修復に重要な役割を果たす。T HelledayとA Ashworthが率いる2つの研究グループは、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)と呼ばれる別のDNA修復関連酵素が、BRCA1またはBRCA2が働かなくなった細胞において不可欠であることを明らかにした。PARPの活性を阻害するとDNA分子中の切断が放置されるようであり、そしてこの切断部分は、BRCA1またはBRCA2が存在しない場合には、組換えによって修復できない損傷となる。両グループは、PARPを阻害するとBRCA2欠損腫瘍の増殖が遅くなることをマウスで示した。これと同じ方法をヒトの乳癌の治療に利用できるかもしれない。なぜなら死滅するのは、BRCA1またはBRCA2が働かなくなった腫瘍細胞のみだからである。 2005年4月14日号の Nature ハイライト 医学:乳癌の新しい治療法 神経:聴覚系の神経細胞が連絡しあう方法 材料:紫外光がポリマーの形を変える 進化:太古の四肢動物に関する仮説を揺るがす砂漠で見つかった新両生類化石 地球:地球の体温を測る : 目次へ戻る