Nature ハイライト
細胞生物学:血管新生のMAP4K4による調節
Nature 519, 7544
細胞の移動は、胚発生や炎症、血管新生などの重要な生物学的過程に決定的な役割を果たすが、細胞運動装置の性質の多くは、分子レベルでの解明がまだ進んでいない。今回、W Yeたちは、内皮細胞の運動性を調節する、これまで知られていなかった経路を明らかにした。彼らは化合物あるいはRNAを使ったスクリーニングにより、血管新生の際の内皮細胞の発芽形態が、MAP4K4の選択的阻害剤によって変化することを明らかにした。この阻害剤は内皮細胞で細長い細胞突起の蓄積を引き起こすので、このような突起の退縮を障害していると考えられる。MAP4K4はまた、β1インテグリンの不活性化によりフォーカルアドヒージョン分解を調節しているモエシンをリン酸化することが明らかにされ、さらにMAP4K4–モエシン–テーリン–β1インテグリン経路は、正常時および病的状態での血管新生の両方に関与していることが実証された。
2015年3月26日号の Nature ハイライト
細胞生物学:血管新生のMAP4K4による調節
生化学:複製起点依存的なDNA複製の初めてのin vitro系
量子物理学:集団での量子エンタングルメント
物理化学:閉じ込められてできた二次元正方格子状の氷
気候科学:降水量の増加と結び付く雲対流
神経科学:視床室傍核と学習・記憶
細胞生物学:細胞周期の長さへの隠れた影響
細胞生物学:心疾患の新たな治療法
分子生物学:RNAの天然状態での構造を探る