Nature ハイライト
神経科学:視床室傍核と学習・記憶
Nature 519, 7544
恐怖関連記憶は扁桃体に保存され、動物の一生にわたって利用され得る。しかし、この記憶がさまざまな時点で想起されるのに必要な回路はまだ分かっていない。最近、マウスに身体的・心理的ストレスをかけると、視床室傍核(PVT)が強く活性化することが分かったが、今回2報の論文で、恐怖連合記憶の短期保持から長期保持への移行の際に、PVTが視床での記憶と想起の重要なノードとして役割を果たすことが示された。M Penzoたちは、行動恐怖訓練後に、PVTから扁桃体の特定部位への投射を抑制すると、扁桃体中の特定の介在ニューロン群上のシナプスで、恐怖によって誘発される典型的な強化現象が阻害されることを介して、恐怖条件付けが妨げられることを示した。F Do-Monteたちは、想起を早い時点と遅い時点とに分け、PVTは遅い時点での恐怖記憶の想起に重要であるのに対し、早い時点の想起に限っては、前辺縁前前頭皮質から扁桃体へ投射する別の回路が重要であることを示した。
2015年3月26日号の Nature ハイライト
細胞生物学:血管新生のMAP4K4による調節
生化学:複製起点依存的なDNA複製の初めてのin vitro系
量子物理学:集団での量子エンタングルメント
物理化学:閉じ込められてできた二次元正方格子状の氷
気候科学:降水量の増加と結び付く雲対流
神経科学:視床室傍核と学習・記憶
細胞生物学:細胞周期の長さへの隠れた影響
細胞生物学:心疾患の新たな治療法
分子生物学:RNAの天然状態での構造を探る