Nature ハイライト

細胞生物学:心疾患の新たな治療法

Nature 519, 7544

バイアグラなどによってホスホジエステラーゼ5A(PDE5A)を阻害すると、一酸化窒素により産生されたcGMPの分解が防がれて病的ストレスから心臓を保護できることが動物実験で示されている。しかし、一酸化窒素シグナル伝達は心血管疾患ではしばしば抑制されており、臨床試験におけるPDE5A阻害が期待外れの結果に終わっているのはこれによって説明できるかもしれない。今回D Kassたちは、ナトリウム利尿ペプチドに共役し、一酸化窒素には依存しないcGMPシグナル伝達を特異的に調節するPDE9Aが、また別の標的となり得ることを明らかにした。PDE9Aはヒトの心不全を起こした心臓で発現が上昇しており、マウスでPDE9Aを阻害すると、すでに成立したストレス誘発性心疾患を改善できる。PDE9A阻害薬はヒトでは忍容性が高く、神経認知疾患の臨床試験が行われている。今回の新たな結果から、これらの阻害薬は心疾患にも適用できる可能性がある。

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