Nature ハイライト 生態:植物細胞壁を緩める線虫 2004年1月1日 Nature 427, 6969 寄生性線虫類は、宿主植物に忍び込むのに巧妙な仕掛けを用いている。線虫は植物の細胞壁を緩める特殊なタンパク質を作っていることがわかった。エクスパンシンと呼ばれるタンパク質は、これまで植物でしか見つかっていなかった。このタンパク質分子は、植物の細胞壁をきっちりと作り上げている結合を弱めることで、壁構造が速やかにゆるんで拡がるようにする。ところが、ある種の線虫はこれと似た戦略を用いていることを、J Helderたちが報告している。植物に寄生するジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)は、エクスパンシンの機能を備えたタンパク質を作り出して植物細胞壁を緩めるのに使っている。この結果からすると、動物には植物の作る物質を分解する手だてをあまり持たないという広く受け入れられた見方は考え直しが必要となるかもしれない。 2004年1月1日号の Nature ハイライト 進化:アジアにいた昆虫食の初期霊長類 進化:多肉植物繁栄のいきさつ 宇宙:ダークエネルギーの地図 海洋:栄養に満ちた南大洋 医学:無作法は遺伝のせい? 電子工学:さらなる小型化 生態:植物細胞壁を緩める線虫 目次へ戻る