南大洋は、地球全体の海洋上層の大半に栄養を供給しているようだ。今回の研究は、低緯度における生物生産力に気候変動がどのように影響を及ぼすのかということを理解する上で役立つかもしれない。海洋の生物ポンプは、表層水から受け取った栄養分を深層水に運ぶ。そこで栄養分の戻る道があるはずである。栄養分に富む水塊は南大洋で形成されて、南半球および北大西洋に広がる。この経路のほかに、規模の小さな別の復路が北太平洋に存在するらしいと、J L Sarmientoたちは報告している。また、水塊中における特定の栄養素の比率が、ケイ藻類として知られる単細胞藻類の広範囲に及ぶ低い生産力を説明できる可能性があることも示唆している。南大洋で形成された水塊は栄養分だけでなく熱および淡水も供給しているとJ RibbeはNews and Viewsで説明している。今回の結果を基に熱帯の気候変動の理解が進むかもしれない。