Nature ハイライト

宇宙:火星の水の謎解明が一歩進んだ

Nature 431, 7010

今週号の研究報告によれば、液体の水が火星に存在していたとしても、地質学的にはおそらくほんの短い期間だけだったらしい。火星探査車オポチュニティが今年初め、メリディアニ平原の着陸地点でジャロサイト(鉄ミョウバン石)と石膏の破片らしきものを発見し、火星には過去に水が存在したという証拠がまたひとつ加わった。なぜならこれらの鉱物はともに、湿潤な環境で形成されるのが普通だからだ。 地球上ではジャロサイトは、酸性鉱山排水環境下で硫化鉱物が酸化する際に形成され、例えばアイダホ州やカリフォルニア州で見られる。またこの鉱物は、火山性噴気孔のそばで硫黄の豊富な酸性液体が火山岩を変質させる過程でも形成される。したがってジャロサイトの形成には、湿潤、酸化性そして酸性の環境が必要であると考えられている。けれども地球上では、地質学的な長さでいえば、ジャロサイトは乾燥条件でしか存在できない。そのような環境以外では不安定になって急速に分解するからである。今回M E Elwood Maddenたちは、火星上の相当環境条件での化学反応を扱う数学的モデルを使って、これらの鉱物が形成された水性環境の水は、その後すぐに蒸発したか、あるいは地面にしみこんだことを示している。

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