Nature ハイライト

生化学:輸送体の構造はサラダボウル型

Nature 431, 7010

情報伝達中のニューロンの間隙から余分な神経伝達物質を取り除く作業は、輸送体と呼ばれる膜タンパク質の任務だ。華やかな仕事とはとても言い難いが、脳の正常な機能に欠くことのできない重要な役割である。今回、哺乳類にとってきわめて重要な神経伝達物質グルタミン酸の輸送体の構造が決定された。これは、グルタミン酸輸送体の詳しい構造が初めて明らかになっただけでなく、アミノ酸輸送体の初めての構造決定でもある。 E Gouauxたちが解明したのは、超好熱古細菌Pyrococcus horikoshii がもつグルタミン酸輸送体相同体だが、真核生物のグルタミン酸輸送体と配列、三次元構造ともに十分に似ているため、比較の対象にできる。Gouauxたちは、これまでの輸送体には見られない特徴をいくつも発見した。なかでも目立つのがサブユニット3個からなることと、2個のヘアピン・ループである。このヘアピン・ループのおかげで細胞の中へあるいは細胞から外へと出入り口が切り換えられるようで、「開いたチャネル」状態をとる必要は否定された。サブユニット3個は合わさってサラダボウルに似た形をとり、ボウルの底にはサブユニットごとにグルタミン酸結合部位がある。 「この新しい構造とモデルは最終的なものではないが、輸送体がどのように働くかを分子下レベルで説明するための有望な実験の道を開くだろう」とM P KavanaughがNews and Viewsで述べている。

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