Nature ハイライト
古生物学:生物が複雑化した時代
Nature 524, 7565
比較的大きい巨視的な生物が化石記録に初めて多数現れるのは、後期エディアカラ紀(5億8000万~5億4100万年前)である。その中で特に目を引くのは、分枝したシダの葉のような要素を持つ固着性海洋生物rangeomorphである。その生物学的類似性や習性はほとんど分かっていないが、今回E Mitchellたちは、カナダ・ニューファンドランドで見つかったFractofususの特別によく解明されている3つの層理面個体群の解析から十分な証拠を収集し、それらがどのようにして集合状態になったのかを明らかにすることで、Fractofususの多くの生物学的特性を推測した。Fractofususは、化石が最も多く保存されているrangeomorphの1つで、おそらく走根(イチゴ植物体の「吸枝」に似たもの)のような構造体を用いて無性的に増殖し、繁殖体が水に運ばれて分散するという、複雑な生活史を有していたようである。こうした戦略によって、局所への迅速な定着と、まだ定着していない新しい場所への輸送が可能になったと考えられる。
2015年8月20日号の Nature ハイライト
構造生物学:bHLH-PAS転写因子の構造
細胞生物学:マイトファジーでパーキンが果たす役割
構造生物学:μオピオイド受容体の活性化
惑星科学:巨大惑星形成の集積モデル
有機化学:ニッケル触媒反応を用いた炭素–ヘテロ原子カップリング
気候:中国の炭素排出量の下方修正
古生物学:生物が複雑化した時代
生態学:山の生物相の進化
がん:がんとの関連が明らかになった細胞ストレスとオートファジー
構造生物学:パーキン活性化機構の解明