Nature ハイライト
構造生物学:パーキン活性化機構の解明
Nature 524, 7565
パーキンとPINK1という酵素コンビが注目を集めているのは、これらがマイトファジー(損傷したミトコンドリアを細胞が分解する過程)を調節しているからというだけでなく、この2つが常染色体劣性若年性パーキンソン病(AR-JP)患者で変異しているからである。分子レベルで見ると、PINK1はパーキンのユビキチン(Ub)様(Ubl)ドメインとUb分子の両方をリン酸化することにより、パーキンを活性化する。今回D Komanderたちは、リン酸化Ubが誘導するパーキン活性化につながるコンホメーション変化と、パーキンがミトコンドリア上のリン酸化Ub鎖を引き寄せる仕組みについての手掛かりを明らかにした。一方、リン酸化Ubと複合体を形成したパーキンの結晶構造からは、パーキン内のリン酸化Ubが結合するポケット構造に含まれるアミノ酸残基に、AR-JP患者では変異が生じていることも明らかになった。
2015年8月20日号の Nature ハイライト
構造生物学:bHLH-PAS転写因子の構造
細胞生物学:マイトファジーでパーキンが果たす役割
構造生物学:μオピオイド受容体の活性化
惑星科学:巨大惑星形成の集積モデル
有機化学:ニッケル触媒反応を用いた炭素–ヘテロ原子カップリング
気候:中国の炭素排出量の下方修正
古生物学:生物が複雑化した時代
生態学:山の生物相の進化
がん:がんとの関連が明らかになった細胞ストレスとオートファジー
構造生物学:パーキン活性化機構の解明