Nature ハイライト
素粒子物理学:金を衝突させて反陽子対相関を探る
Nature 527, 7578
原子核の間に働く力は、実験によって極めて高い精度で明らかになっている。しかし、反原子核の間に働く力の測定は難しいことが分かっている。反原子核はすでに検出されているが、反原子核の間の相互作用を測定するのに十分な量の反原子核を生成するのは技術的にかなり困難であった。今回、ブルックヘブン国立研究所(米国)の相対論的重イオン衝突型加速器で研究を行っているSTAR Collaborationが、反陽子相互作用の測定に成功した。反陽子は高エネルギー金原子を衝突させて生成されている。著者たちは、反陽子相互作用が引力であることを示し、この相互作用の特徴である2つの重要なパラメーター、すなわち散乱長と有効距離を測定した。今回の結果によって、物質–反物質対称性が定量的に確かめられ、さらに高精度な検証への機会が開かれる。
2015年11月19日号の Nature ハイライト
発生:ショウジョウバエでのモルフォゲンによるパターン形成
抗生物質:黄色ブドウ球菌を標的とする新しい手法
がん:転移部位の選択には腫瘍のエキソソームが関与している
構造生物学:InsP3受容体の構造
天文学:形成途中の惑星
素粒子物理学:金を衝突させて反陽子対相関を探る
材料科学:メタンを効率よく貯蔵する媒体
気候科学:海洋低酸素化の熱的なきっかけ
進化学:脊椎動物の神経堤の起源はもっと古い